うそつきは恋のはじまり
◇3.
「はぁ!?18歳に恋をした!!?」
ある日の昼間。お昼休みを迎えひと気のないフロアの中で、莉緒は声をあげた。
その隣では、パソコンで自社の商品をカチカチと検索する自分がおり、見つめる画面には表示された『ハリのある肌に!美顔ローラー』の文字。
「うん、そうなの。だから私、思うままに恋してみようと思って」
「……で?さっきからあんたはなに真剣な顔で商品検索してるの?」
「うん、そのためにはまず美顔ローラー買って肌のハリだけでもハタチに近づけようかと……」
「ってバカじゃないの!!」
真剣な顔でパソコンの画面から目をそらさずに言う私に、莉緒は怒りながら言うと、私の手からマウスを奪い開いていた画面を全て閉じてしまう。
「あー!なにするの、ひどい!」
「ひどいって……あんた自分がなに言ってるかわかってる!?18歳よ!?未成年よ!?向こうからすれば30歳なんておばさんよ!?」
「わ、わかってるもん……」
「向こうはね、周りにいる女が皆若くて肌が綺麗で当たり前なの。若く見えても『あ、ここ違うな』って幻滅されるよ!?」
「うっ……!」