うそつきは恋のはじまり
私のためを思ってだろうけれど、怒りながら力説する莉緒の言葉には重みがある。
わかっている、けど、でも……。
「理性じゃ恋は止まらないんだもんー!!」
うわぁぁんとキーボードに突っ伏す私に、その顔は呆れ顔に変わる。
彼方くんが、好き。
少しの時間でいとも簡単に落ちてしまった恋に、気持ちを実感してから数日。彼の歳と自分の歳、それぞれの立場などを考えて沢山悩んだ。
いけない。一回りも年下相手に、いけない。
そう分かってはいても、帰り道で行き会えばやっぱり嬉しいし少しのことでドキドキしてしまう。
ならば、いっそのこと認めてしまおうと思った。きっと、消そうと思って消える気持ちじゃないから。
それなら、彼に『好き』って言えるような自分になろう。年齢の壁なんて飛び越えて、思うままに恋してみようって。そう思った。
……が、その決意表明として莉緒に話したものの、返された反応は当然厳しいもの。