うそつきは恋のはじまり
「なーに騒いでるんだ?」
「あ、北見さん!ちょっと聞いてくださいよ!」
「なに、また年下男の話?」
そこに現れたのは、昼食を終えたあとらしく缶コーヒーを手にフロアへ入ってきたところだった北見さん。
莉緒はまた北見さんへ、私から聞いた話を一通り説明した。
「へー……18歳相手に、恋ねぇ」
「ありえないでしょ!?言ってやってくださいよ!」
「ありえなくなんてないもん!恋愛に歳は関係ないし!」
キーキー騒ぐ私と莉緒に、彼は少しうるさそうに顔を歪めるとコーヒーを一口飲んだ。
「まぁ、別に相手が一回り下だろうといいとは思うけど」
「ほら!ですよね、北見さんなら話がわかると……」
「でも向こうは川崎を20歳だと思ってるんだろ?」
「うっ!!」
鋭く問う一言に、心臓がギクリと跳ねる。
「そこを素直に言わないうちは、『恋愛に歳は関係ない』なんて言う資格ないと思うけど」
「それは、そう、ですけど……」
うぅ、耳が痛い……!
そう。私には年齢の壁を超える以前に、やらなくちゃいけないことがある。それは、ついた嘘を嘘だと彼に言うこと。