うそつきは恋のはじまり



その日の夜。いつも通り19時台の電車に乗り帰り道を行く私は、今日もドアの真横の席に座る。

手元の鏡でまじまじと見つめているのは、自分の顔。



それにしても、20歳……には、さすがに見えない気がする。

どう見ても、若く見ようとしても20代半ば?この見た目で本当に20歳だと思っているのかな?

はっ!まさか彼方くん……私の嘘に気付いている!?



『どう見ても30なのに20歳とか嘘ついている痛いやつ』とか思われていたらどうしよう!

それはそれでまたショック……!



「なーにしてんの」

「え!?」



突然聞こえた声に振り向けば、すぐ隣にはこちらを覗き込む彼方くんの姿。

いつの間に!?と驚き窓の外を見ると、停車駅は『青島大学前』と書かれていた。



大学前の駅だったんだ、鏡見るのに夢中で気付かなかった!


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