うそつきは恋のはじまり
「もしや『ケティーちゃんのカノジョ』?」
「へ?」
「あっ!言うなバカ!」
ケティーちゃんのカノジョ……って?
意味がわからずきょとんと首を傾げた私の一方で、彼方くんは金髪の男の子の口元をむぐっと手で塞ぐ。
「あー、この前のあれ?ゲーセンで猫のぬいぐるみ見つけて、彼方が『ケティーちゃん好きなあの人に取ってあげたい』って、下手くそながらも必死に取ってた……」
ところがその隣で、メガネの子がペラベラと話してしまったことで、私はその話の一部始終を把握する。
以前彼方くんから貰った、ケティーちゃんのぬいぐるみ。それは『妹さんから』と言っていたけれど、実際は彼方くんが必死に取ってくれたものなのだろう。
驚きながら見れば、彼方くんは『だから言うなって』と恥ずかしそうに、顔を赤くして黙り込む。
彼方くんが、私のために……なんて、すごく嬉しい。
「……そう、だったんだ」
嬉しさを堪えきれず笑顔になる私に、ますます赤くなる彼方くん。そんな私たちをみて、二人はニヤリと笑った。