うそつきは恋のはじまり
そして、何時間が経っただろうか。
飲んで泣いて騒ぐうちに終電ギリギリの時刻となり、私たち3人はようやく居酒屋を出た。
「俺と吉木は駅向こうだけど……川崎、送っていこうか?」
「大丈夫ですよ〜、私こう見えてぜんっぜん酔っ払ってないんで!」
「どう見ても酔っ払ってるけど」
「大丈夫ですって!んじゃ!」
駅の方向がひとり違う私は、少しふわふわとした足取りで駅へと向かい、ギリギリ間に合った終電に乗り込む。
『電車が発車します、閉まるドアにご注意ください』
ドアのすぐ横の席に座り、「ふぅ」と一息つくと同時にガタン、ゴトンと電車は走り出す。
ちょっと飲みすぎたかも……。ふわふわしているし、顔も熱い。明日も仕事なのに大丈夫かなぁ、大丈夫か。
ぼんやりと考えながら、流れていく窓の外の景色を見つめた。
会社から家までの間のこの道……よく彼とラブラブなメールしながら帰っていたなぁ。
酔っているせいか、また思い出して涙が出そうになる。
もう忘れよう、泣いても彼が戻るわけでもない。うん、そうだ。
……なんてすぐ忘れられたら苦労しないよ。