うそつきは恋のはじまり
「七恵ちゃん、だっけ?いくつ?」
「え!?えーと、……ハタチです」
金髪の子からの問いに、またついてしまう嘘。
「ハタチ?大人っぽいなー、やっぱ社会人は違うわ」
「な。大学の女子と落ち着き方が大違い」
「そ、そうかな?ありがとう!あ、あはははー!」
あぁ、私また嘘を重ねて……!ごめんなさい、いたいけな少年たちを騙して、ごめんなさいっ……!
こちらの心苦しさに全く気付く気配もなく、二人は納得する。
「年上彼女か〜、いいな彼方。やるなー」
「いや、あの、私は彼女ってわけではなくて……」
「でも珍しいじゃん。年下好きの彼方が年上となんて」
「え!?」
年下好き!!?
「余計な話しなくていいから。七恵、降りるよ」
話すうちにいつの間にか駅に着いていたらしい。彼方くんに腕を引かれ、電車を降りる。
「じゃあなー」と手を振るふたりにドアは閉まり電車は走り出した。