うそつきは恋のはじまり
「七恵はさ、年下とかダメ?」
「え!?ううん、全然ダメじゃないよ!」
ダメなんて、そんなことあるわけがない!寧ろ彼方くんなら大歓迎です!ウェルカムです!!
突然の彼方くんからの問いかけに、私は全力で否定する。
「年下の子ってほら、可愛いじゃない?」
「へー……俺も『可愛い』?」
「う、うん!彼方くんもすごく可愛いよ!」
って、力説しすぎ?
力強く頷くと、彼方くんは不意に足を止め、こちらをじっと見つめた。つられて私も足を止める。
「彼方くん?」
「……可愛いじゃ、イヤなんだけど」
「え……?」
それって、どういう意味?
問いかけようとしたその時、彼方くんの顔が近付いた。近い、そう思った瞬間、視界は彼方くんの顔でいっぱいになり、唇に感じた柔らかな感触。
そうそれは、突然のキス。
……え……?
彼方くんはそっと顔を離すと、茶色い瞳に、驚き固まるマヌケな私の顔を映した。