うそつきは恋のはじまり
「う〜……いてて、嫌な夢みたなぁ……」
ヨロヨロと体を起こし、寝癖でボサボサの髪のままで、ベッド横の小さなテーブルの上のスマートフォンに手を伸ばす。
あれ、メールきてる……。
『受信メール・1通』の文字に内容を確認すれば、そこには『送信者・彼方くん』の名前。
彼方くんからだ!!
その名前に一気に覚めた目。カッと開いた目で本文を確認すると、『おはよう。今日も仕事頑張ってね』のメール。
「『おはよう!今日も一日、彼方くんのこと考えれば仕事頑張れるよ〜!彼方くんも学校、頑張ってね』……ハートマーク、っと」
カシカシと文字を打ち、キラキラやハートマークの絵文字で、少しうるさい返信画面。
って、こういうメールって鬱陶しいかな!?……いっか。私、ハタチだしね。
ふっと覚めた笑いを浮かべ送信ボタンを押すと、すぐさまメールは送られる。
30歳ということも忘れ、20歳であると嘘をつくことに何とも思わなくなってきているあたり、そろそろ本当にまずいと思います。