うそつきは恋のはじまり
それからは、毎日当日に向けて服選びに頭を悩ませ、パックで肌のケアをして、メイクも髪型もどうやったら彼方くんの隣を歩くのに似合うかをあれこれと考える日々。
悩みすぎて頭がパンクしそうな時もある。けれど、彼を想って悩むのは嬉しく楽しくもあったりも、して。
そして迎えた、当日の日曜。
「あっ、七恵」
「彼方くん!」
冷たい風が吹く駅前で、待ち合わせをする私と彼方くんの姿がそこにはあった。
「おはよう!ごめんね、待った?」
「ううん、時間通り」
グレーと黒のフードのついたスタジャンに、細身のパンツ。そんないつもと変わらぬ、カジュアルな格好にも関わらず、やっぱりその姿はキラキラと眩しい。
あぁ……今日も天使……!
うっとりとしてしまう私に、彼方くんはその視線に気づくことなくこちらを見た。
はっ!見られている!
結局紺色のニットに白いミニスカート、という無難な格好にしてしまった……しかも足元、タイツだし。だって寒いんだもん。
もしや私の格好、ダサい!?彼方くんと並ぶと変!?
ど、どうしよう……いや、でも着てきちゃったものは仕方がない。ダメ出しされたらマッハで帰って着替えてこよう。
冷や汗をかきながら、平静を装う私に、彼方くんからこぼされたのは小さな笑み。