うそつきは恋のはじまり



「なんか、いつもと雰囲気違うね、かわいい」

「え!?本当!?」

「うん。あ、普段もかわいいんだけど、また違ってかわいいっていうか」



か、かわいい!?



「よかったー!昨日の夜中までずっと考えて悩んでたから……あっ!!」



って、言っちゃった!!

私のバカ!褒められたことが嬉しかったからって、夜中まで服悩んでたなんて……余裕なさすぎと思われた?は、はずかしい……。



「あ、えと、その……」



自分の失言に恥ずかしさから一気にしどろもどろになってしまう。



「そうなの?そんなに悩んでくれてありがと」



ところが彼方くんはそんな私を笑うことなく、にこりと優しい笑顔のまま。

『ありがと』なんて……こっちがありがとうだよ!もう!



いちいちキュンと音を立てる心に、思わず緩む頬。笑顔の彼につられるように、「えへへ」と笑って駅から改札へと入っていった。


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