うそつきは恋のはじまり
「北見さん……ってその呼び方やめてくださいよ!」
「現実忘れて20歳気取りでいるから現実に戻してやってるだけだろ」
「もう!幸せなんだから邪魔しないでください!」
20歳気取りって……まぁ、気取ってるかもしれないけど!でも、彼方くんといられて幸せなんだもん……。
またうっとりと携帯の裏のプリクラを見ると、背後からそれを覗き込む北見さんの顔が呆れたように歪むのが簡単に想像ついた。
「うわ、携帯にプリクラ貼るとか……」
「な、なんですか!悪いですか!?」
「悪いっつーか……気持ち悪い?」
「気持ち悪い!?」
ひ、ひどい!
「北見さん、私のこと絶対嫌いだ……」
散々言って去って行く北見さんに心折れそうになりながらぼそ、と呟く。
「そう?寧ろ逆だと思うけど」
「わ!莉緒!」
すると話を聞いていたのか、莉緒はひょこっと姿を現し私の隣のデスクへ座った。