うそつきは恋のはじまり
「聞いてたの?」
「偶然ね。確かに私も、いい歳して携帯にプリクラはないと思うけど」
「莉緒まで!みんなしてひどい……!」
そうかもしれないけどさ!携帯に貼っておくのが、一番いつでも見られるんだもん!
「うぅ」といじけるようにプリクラを指先で撫でる。そんな私の爪は、相変わらずピンク色のままだ。
「ていうか七恵さ、本当にこのままでいいの?」
「え?」
莉緒は、黒く長い髪をバレッタで束ねながら言う。
「年下くんと、嘘ついて付き合ってるままで。これから先どうするの?」
「どうって……」
「いつか絶対痛い目見るよ。それに、絶対傷付く。七恵自身も、七恵を好きだって言ってくれてるあの子も」
傷、付く。私自身は当然、彼方くんまでも。
そう、だよね。信じている相手に嘘をつかれてるって知ったら、きっと傷付く。
「……それは、やだな」
「嫌ならさっさと自分から言いなさい。誰かにバラされたり、何かの拍子に知られるのが一番タチ悪いんだから」