重なり合う、ふたつの傷
メールの着信音がして我に返った。
心配したルミから何度もメールが来ていた。
もうお昼を過ぎている。
雨の中で過ごした時間は暗黒だった。真っ暗でなにも見えていなかった。いつの間にか雨も止み、悪戯な太陽が乾き始めたアスファルトをジリジリと照射していた。
私は天野くんの家に向かった。
無駄だとわかっていたけど、自分の目で確かめたい。
《私、天野くんの家に行ってみる》
ルミにそう返信した。