重なり合う、ふたつの傷


眠い目をこすりながら天野くんの家に着くと、そこには見知らぬ女性がいた。


天野くんのお母さんだ!!

一気に目が覚めた。


そうだ、天野くんと一緒にご両親も帰国したんだった。


モデルみたいに背が高くて、すらっとしていて、長い黒髪が艶々で。


キッチンを見て想像していた通りの綺麗な人だった。

少し緊張しながらの自己紹介。


「初めまして。玉置梨織と申します」


私が頭を下げると「蒼太の母です。来てくれて嬉しいわ」と、迎え入れてくれた。


天野くんも私とお母さんの様子を見て照れるように微笑んだ。





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