風は纏う
三年に上がっても、相変わらず二人並んで川沿いの道を帰った。
今思えばその頃からだろう、亜香里が辛そうに笑うようになったのは。
本当は気づいていた、彼女が何かに悩んでいることも。
この頃の僕は成長期で、気が付くと180センチを超えていた。
中学生の女子にとって高身長でバスケ部、それなりに運動も勉強もできた僕は、かっこよく思えたんだろう。
ひと月に一度は告白されるようになっていた。
亜香里が僕を避けるようになる前日も、いつものように部活終わり肩を並べて川沿いを歩いていた。
「あ、あのさ!、恭ちゃんって「おーーい!!恭弥(きょうや)!今帰りか??」
クラスは違うがバスケ部で仲のいい理久(りく)に声をかけられた。
「なあ亜香里ちゃん、知ってる?今日もこいつ告白されたんだぜ??あんな可愛い子に告白されたのに振るなんて何様だよ!」
「おい、理久!」
「いやまじでなんでいつも断るんだ?」
あの時きちんと伝えられていれば変わっただろうか。