不器用な初恋~俺は君のことが好きだ~
第10章 涼君(2)【凛side】
「り~ん」
「凛ってば」
「えっ?」
振り返ると千恵が怪訝そうな顔で
「どうしたのよ?凛にしては珍しくぼんやりして」
「ぼんやりしてた?」
たぶんしてたんだろうな。
千恵が呼ぶのも気づかなかったもん。
「何見てんの?」
「……」
「野球部?」
千恵も窓から覗いて
「凛さぁ」
「うん?」
「もしかしたら藤倉君に告られた?」
「えっ?」
千恵、何で?
「ハハハ…図星か」
あっ! かまかけられた。
「昨日の藤倉君を見てたら分かるわよ」
「えっ?」
何か千恵が驚くことばかり言う。
「だってさ、藤倉君、昨日ね凛ばかり見てたよ。それで凛と目が合うと赤くなってたし」
「……」
そうだっけ?