不器用な初恋~俺は君のことが好きだ~
「この間の人ね」
先輩がぽつりぽつりと話し始めた。
「東高のテニス部のエースなの」
「……」
「うちのテニス部とは合同練習とかをしてたから男子部とも顔馴染みだった。そんなある日ね、彼に『好きだ。付き合ってほしい 』って言われて」
「……」
「初めはそんな目で彼のことを見たことないから正直にそう言ったの。そしたら…『考えてほしい』って」
「……」
アイスコーヒーを飲み干し
「あ、お代わりする?私もするから」
「はい」
アイスコーヒーとアイスティーのお代わりをして、また話しだした。
「全然意識してなかったんだけど、そんなことを言われたら意識しだすんだよね。優しいし、でもテニスには厳しくて。千恵に相談したら『じゃあ友達として付き合えば』って言われて…友達ならいいかなって思って付き合いだしたんだ」
「……」
俺はなんだか先輩の顔を見ていられなくて、ぼんやり窓から外を眺めていた。