不器用な初恋~俺は君のことが好きだ~
第2章 先輩(1)
土曜日
「おはよう、涼君」
へっ?
洗面所に行ったら先輩がいた。
「お、おはようございます」
何か焦る。
「早いんだね。あっ、クラブ?」
「は、はい」
何で俺、緊張してるんだよ。
「先に使わせてもらっちゃった。ごめんね」
「い、いえ」
先輩が出て行き
――
―
ハッ!
俺何してんだよ、ぼけーとして。
ホント調子が狂ってる。
「あ、涼 おはよう」
「おはよう」
キッチンに行くとお袋と先輩が朝ご飯の支度をしていた。
「陽菜は?」
「まだ寝てるわよ。恭介さんと一緒」
「誰が一緒だって」
あ、親父。
「恭介さん、おはようございます」
「おじ様、おはようございます」
「ん、おはよう」
ダイニングのテーブルに着いて
「涼は先に食べちゃいなさい」
「ん。いただきます」
パンとサラダとベーコンエッグとコーヒーの朝ご飯。
「じゃあ陽菜を起こしてくるわね。私達が先に食べたら膨れるから」
お袋が起こしに行き、ダイニングには俺と先輩の二人だけになった。
親父はリビングで新聞を読んでる。
「涼君、もう一枚食べるんだよね」
「あ、はい」
パンを焼いてくれバターを塗って
「はい、どうぞ」
「あ、ありがとうございます」
何か話そうとするんだけど何を話していいのやら。
先輩はニコニコしながら俺を見ている。
何なんだよ。
「夕べも思ったんだけどいい食べっぷりだね。見ていて気持ちいいわ」
「へっ?」
「あ、そうだ。明日確か北高と練習試合だよね」
「はい」
「見に行ってもいいかな?」
「えっ?」
「うん。こうして知り合いになれたし見てみたいなぁって 。駄目かな?」
「い、いや。ど、どうぞ。応援に来て下さい」
「ホント、ありがとう」
先輩がニコッと笑う。
ドキッ!
まただ。
胸の奥で何かが音を立てた。