不器用な初恋~俺は君のことが好きだ~



――



俺達の順番が来て

「陽菜ちゃん、さっきの続きが聞きたいから私達と乗って。ね」

片桐先輩に言われて

「あ、うん。お兄ちゃん」

「あぁ。先輩、お願いします」

「はい。お預かりいたします」

片桐先輩が敬礼して3人乗り込んだ。

そして次のゴンドラに俺達が乗り込 む。

ゴンドラが動き出して

「先輩、先程は」

「涼君ありがとうね」

「……」

「あんな浅はかな男と何で付き合ってたんだって思ってるでしょ?」

「先輩…」

「まさかあそこまでとは思わなかった」

「……」

「テニスしてる時とは全然違う。真逆」

「自分で言ってるように『テニスの王子様』なんだからそう知らず知らずに演じてたんじゃないですか?それにテニスだけは本気でやってたろうし。 かっこよさやモテたいだけで厳しい練習には耐えられないし成績も残せない。もしかしたら…」

「うん?」

「学校でもテニスでも王子様でいなけりゃいけないとやってる反動でオフの時はこうして発散してんじゃないですか?」

決して褒められたことではないが。

「人に弱みとか情けない恰好をみせたくないって思いが強そうだし」

「虚栄心の塊だしね」

「……」

「私は表面のレッテルしか見てなかったんだよね」

先輩が寂しそうに窓の外を眺めている。




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