不器用な初恋~俺は君のことが好きだ~
「千恵も千葉君も同じように思ってるんじゃないかな」
「……」
「涼君は私よりよっぽど確りしてるよ。私は見かけだけ」
「そんなこと」
先輩は確りしすぎているのに。
「ううん。ほら、雅巳が学校に来て涼君達に助けられたじゃない 」
「あれは」
「あの明くる日、私は学校を休んだ」
それは当たり前だろ。
「私が見かけ通りの確りさんなら学校休んでないよ。雅巳には何の感情もなかったけど『自分が』情けなくって休んだもん。私、弱いよ」
『情けない』って…
「先輩、いや凛さん。いい加減に俺怒りますよ。自分にそんなにつらく当たってどうすんですか?もっと自分を甘やかしてあげて下さい。もっと自分を大事にして下さい」
「涼君」
あっ!
つい声を荒げて
「す、すみません」
「いいのよ。謝らないで。うん、涼君の言ってくれることは前にも言ってくれたことも分かってる。その通りだと思う。でも…フフフ…駄目ね。結局後戻りしちゃう」
「凛さん」
「うん。もう大丈夫だから。もう後戻りはしない。だって」
「……」
「私には両方の親も認めたラブラブな恋人がいるんだもんね」
『ねっ!』と言わんばかりに派手なウインクを俺に。
「凛さん」
「2人きりの時は『凛さん』でもいいけどみんなの前では」
「先輩」
「そっ!フフフ…」
「ハハハ…」
「あっ!」
先輩が手を振っている。
振り返り見ると
陽菜と片桐先輩がこっちを見て手を振っていた。
満面の笑顔で。