不器用な初恋~俺は君のことが好きだ~
「涼、クラブ行こうぜ」
珍しく悠が教室に迎えに来た。
「キャ~尾崎くぅ~ん」
クラスの派手女子軍団が奇声をあげている。
悠はそれにも動じずちょっと笑顔を見せる。
相変わらず如才ない奴だ。
悠曰く
「笑ってやるだけで大人しくなるんだったらその方が早い」
確かに。
無視すると余計にギャ~ギャ~言うようだ。
「お前も笑ってやれ」
と言われるが…俺には無理。
おかしくもないし煩いだけなのに笑うなんて。
「お前は不器用だからな」
いつも溜め息をつかれる。
「ガキの頃は愛想よかったのに。どこでどう」
そんなの知るか!
「やっぱり親父さんに似てんだな」
「……」
自分でも自覚してるから…言われたくない。
「ちわ~す」
部室に入りユニフォームに着替え練習が始まる。
地区大会が迫ってきているのでみんな必死だ。
練習も熱が籠っている。
千葉先輩達3年生にはもしかしたら最後の試合(甲子園に行ければ別だが)
昨日が大会前の最後の練習休みだった。
今日から試合迄また厳しい日々が始まる。
――
―
「お疲れっす」
練習が終わったのは7時。
みんな疲れてるのと腹が減ってるのでへとへとだ。
「じゃあな」
「また明日な」
悠と別れて家へ。