不器用な初恋~俺は君のことが好きだ~
第22章 家族(2)
「ただいま」
「おかえりなさい」
お袋が出迎えてくれて
「先にお風呂に入りなさい」
弁当箱を洗いながら
「親父は?」
「さっき電話かかってきて今から出るって。だから入る時間はあるわよ。汗流してらっしゃい」
「ん、そうする」
――
―
風呂から出て
「あ、親父お帰り。先に入らせてもらった」
親父はもうテーブルに着いていた。
「あぁ」
「お兄ちゃん早く。お腹空いてるんだから」
「お前、まだ食ってなかったのか?」
「当たり前でしょ。私は優しいいい子なんだから大好きなパパやお兄ちゃんを待つわよ」
「……」
自分で言うか?
それに『大好きな』って
「どうしたのよ?」
「いや。明日雨かも」
「えっ?お月様綺麗に出てるけど」
「クッ!ククク…」
「フフフ…」
「パパ、ママ何がおかしいのよ?」
きょとん顔で親父達を見て
「ん?陽菜は可愛いなと思って。な、涼」
「フッ そうだな」
椅子に座り
「何、それ?お兄ちゃんに可愛いって言われるるなんて」
「自分で可愛いって言ったじゃないか」
「それは…」
陽菜は自分で『可愛い』とは言うが人に言われると、それが例え親父やお袋や俺でも照れる。
それに陽菜の口癖は子どもの頃から変わらず『ママが一番可愛い 』だから。