不器用な初恋~俺は君のことが好きだ~
第23章 陽菜(1)
BuBuBuBu
ん、電話。
練習が終わって部室に戻りロッカーを開けると鞄越しに携帯のバ イブ音。
携帯を取り出して見ると…お袋!
珍しい。
「はい」
『涼、まだ学校?』
「ん。練習終わったとこ」
『じゃあ分からないわよね』
「どうかした?」
何かお袋が焦ってるような。
『うん、母さん今帰って来たんだけど陽菜がいないの』
「えっ?陽菜が」
俺の声がでかかったのか悠と千葉先輩が側に来た。
『えぇ。学校から帰ってないみたいなの。今日は部活の日だから 終わってから寄り道でもしてるのかと思ったんだけど、ちょっと遅すぎるし。携帯も通じないのよ』
もしかして…
耳をそばだてていた千葉先輩が『水島に聞いてみる』と部室を出て行く。
「祖母ちゃんとこに寄ってるんじゃ」
『来てないって。何人か友達の所も電話したんだけど学校で別れたって。この間の一件があるからちょっと心配で』
そりゃそうだろう。
「親父は?」
『今日は取引先と打ち合わせで…だからあまり心配かけたくないし』
「ん」
取引先と食事か。
まだ陽菜の様子がはっきり分からないから親父には知らせたくな いってお袋の気持ちは分かる。
本屋や雑貨屋に寄って遅くなってるだけかもしれないし。
「とにかく俺も心当たりを探してみるから。母さんは陽菜が帰ってくるかもしれないから家にいて」
『えぇ、分かったわ』