不器用な初恋~俺は君のことが好きだ~
ピンポーン
ガチャッ!
「ただいま」
「おかえりなさい」
お袋が出迎えてくれた。
「水族館はどうだった?」
「フフフ…楽しかったわよ。涼も一緒に行けたらよかったのにね 」
キッチンに行って鞄から弁当箱を出し洗う。
これは中学の時からの習慣だ。
お袋も仕事をしてるし、俺達の方が帰るのが早い。
だから弁当箱だけは洗うようにとしつけられた。
陽菜も毎日自分で洗ってる。
もう癖になってるからお袋がいてもやはり自分達で洗う。
我が家で何もしないのは親父だけだ。
お袋も親父だけはしつけられなかったみたいだ。
てか甘やかし過ぎだし。
「あ、涼君 おかえりなさい」
振り向くと先輩がお盆を持って立っていた。
「た、ただいま…です」
「凛ちゃん、いいのに」
「これくらい手伝います」
流しにカップやお皿を置いていく。
「涼、そんな所に突っ立ってないで着替えてらっしゃい。晩御飯を食べに行くから」
「ん、食いに行くの?」
「涼、食いに行くのじゃないでしょ」
「……」
「大ちゃんと愛ちゃんも来てるし」
「大と愛?来てんの?」
「お姉さんが急に仕事が入ってね。一緒に水族館に連れて行ったの」
「ふ~ん」
「ほら、早く」
「あ、あぁ」
キッチンを出る時
クスッ
へっ?
振り向くと先輩が…笑ってた。
はぁ~
またガキだと思われてんな。