不器用な初恋~俺は君のことが好きだ~
だけど…
どんなナルシストで高慢ちきな奴でも中学生を連れ去ったら犯罪になることぐらい分かるだろう。
それにすら気づかない馬鹿ではないと思う。
と言うことは他に何か…
いや、それより先輩がアイツを怒鳴れば怒鳴るほどアイツもキレるかも知れない。
片桐先輩に耳打ちして落ち着いてもらうように、そして陽菜の状態を聞き出してくれるように頼み
「千葉先輩」
「うん?」
水島先輩から少し離れて
「東高に知り合いいますか?」
俺も悠も野球部になら知り合いはいるが2年生だしアイツの近況を知ってるとは言い難い。
その点、千葉先輩は3年生だからアイツの知り合いとかいるかも。
「あ、あぁ」
「悪いんですが連絡して学校でのアイツの最近の様子とか聞いてもらえませんか?いくらあの時に陽菜がコケにしたとは言えこんな犯罪まがいなことをやるほど馬鹿じゃないと思うんです。大学の推薦にも響くし。なのに」
「考えたらそうだな。自分が一番可愛いんだから不利になるようなことはしないタイプだ。分かった。聞いてみる」
「お願いします」
「涼、志織さんに」
「あ、あぁ」
お袋に知らせなければ。
だけど『連れ去られた』なんて言ったら…
水島先輩がアイツと話しをしてからの方が…
だけど心配してるだろうし。