不器用な初恋~俺は君のことが好きだ~
親父やお袋、陽菜までが笑って。
何がおかしい?
俺が睨んでいたら、向かいから
「涼君、私一応ピアノ教師の娘なんだけど」
「…あっ!す、すみません」
「フフフ…いいわよ。不真面目な生徒だから」
「違うよ。凛ちゃん、凄く上手いんだよ。ピアニストだってなれるよ」
陽菜が必死になって言う。
「陽菜ちゃん、ありがとう。だけどピアニストは無理。テニス始めた時にね」
「凛ちゃん今からでは」
「志織さん、もう無理ですよ。私はテニスを取ったんだから…あの時からピ アノは趣味になりました」
そのテニスが出来ないならピアニストを目指しても
そんな俺の考えが分かったのか
「涼君、本当にピアニストになろうと思ったらね、そうだな。涼君が毎日クラブを続けてるようにピアノ漬けでないと。ピアニスト目指してるならテニスとか球技は駄目!もし怪我でもしたらアウト。それに極端に言えば旅行なんかもNG。修学旅行もね」
「え、何でですか?旅行に行っても怪我なんて」
「怪我じゃないの。旅行に行ってたらその間ピアノに触れないでしょう。ピ アノは毎日触ってないと」
「……」
「まぁどんな世界でも厳しいわね」
お袋がポツッと。