不器用な初恋~俺は君のことが好きだ~
バチッ!
先輩がビンタを。
「り、凛、てめえ何すんだよ?お巡りさん見たでしょ?コイツ俺を殴った」
「……」
「……」
誰も呆れてしまって言葉も出ない。
「雅巳、私の最大の間違いはね、あんたに出会ったことよ。テニスが好きじゃないならそれでもいい。でも仮にもテニスの王子様って自負してかっこつけてんならこんなみっともないことしないでよ。今のあんたなんて情けないだけの男じゃない」
「お前に何が分かるんだよ」
「えぇ、私には分からないわよ、あんたのエゴイズムなんて」
「先輩、大丈夫ですか?」
あまりの怒りからか先輩の体が震えている。
「今度は野球部のエースか、凛も人のこと言えないよな」
「お前は何処まで凛を馬鹿にすんだよ。お前が汚いからって他の人も一緒なんてねえんだよ」
また俺が飛びかかろうとすると
「涼、ソイツはお前に殴られる資格すらない最低の奴だ。警察に任せろ」
「親父」
今まで黙っていた親父が俺を羽交い締めにしてコイツを睨みつける。
その親父の低いドスの効いた声と厳しい眼差しと形相にビビったのかガタガタ震え出した。
確かに親父を怒らせたら警官より迫力がある。