不器用な初恋~俺は君のことが好きだ~
第24章 先輩(6)
「じゃあ行きましょうか?」
警官に促されて俺達もマンションを出る。
いつの間にかマンション前には野次馬が。
親父が陽菜を庇い、俺も先輩を。
「陽菜」
「ママ」
お袋が陽菜を抱き締めて
「よく頑張ったね」
「ううん、私はなんにも…ウワアァァァ~」
お袋の顔を見て安心したのか再び泣き出した。
「涼」
「凛」
「藤倉、水島」
悠達も側に来て
「大丈夫か?アイツ、パトカーに乗せられる時に暴れてたぞ」
「はぁ?」
「警官に押さえつけられて乗せられたんだけど。ギャーギャー喚いてた」
「本当に情けないったらありゃしないんだから」
片桐先輩が吐いて捨てるように。
「凛、貴女が気にすることなんて何にもないんだからね。ね、悟 」
「あぁ。水島も被害者だ」
そうだ。
千葉先輩が言うように水島先輩も陽菜と同じく被害者だ。
だが、先輩は自分を責めている。