不器用な初恋~俺は君のことが好きだ~



晩飯を済ませて陽菜とお袋が風呂に入り

「ケーキいただきます」

親父が悠に張り合って買ってきたケーキを陽菜は嬉しそうに頬張る。

「美味しい。パパありがとうね」

「ん。悠が明日どんなプリンを持ってくるか知らんがこのケーキには勝てないな」

「ハハハ…明日悠に言ってやろ。アイツも親父に負けないようにいつものコンビニプリンじゃなく上等のプリン買うぞ」

「チッ!アイツは生意気なんだから」

「フフフ…悠ちゃんどんなプリン持ってきてくれるか楽しみ。ママ明日は悠ちゃんに晩御飯ごちそうしてあげてね」

「分かってますよ」

「アイツ晩飯まで食って行くのか、本当に生意気な」

「ハハハ…今頃アイツくしゃみしてるな」

「フフフ…そうかも。もう1個いただきま~す」

いつものように賑やかな時間。

いや、いつも以上だ。

親父もお袋も俺も陽菜も意識してふざけあってるような…

まるで沈黙が怖いように。

そして…

先輩ももしかしてこんな時間を過ごしているんだろうか。

警察と親父から電話で詳細を聞いた先輩のご両親はさぞ驚いたことだろう。

先輩… 大丈夫だろうか?

いや先輩だけじゃなく片桐先輩も千葉先輩も悠も…

陽菜と先輩はもちろんだが親父とお袋を含めて俺達みんなの中に今回のことはトゲのように刺さっている。

このトゲが抜けるまでどれくらいの時が必要なんだろう。



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