不器用な初恋~俺は君のことが好きだ~

「よっ、涼」

土曜日でも野球部の練習があるから陽菜についていることも先輩を訪ねることも出来ない。

朝、部室に行くと悠が側に来て声をひそめ

「陽菜ちゃん、どうだ?」

「昨日はありがとうな」

「そんなのはどうでもいい。お前、疲れたような顔してんぞ」

「ん。夜中に陽菜がパニック起こして高熱を出した」

「……」

「悠、悪いが今日の見舞いはパスしてくれ」

「あぁ、分かった。陽菜ちゃん昨日は気丈に振る舞ってたけど、やっぱりこたえてるよな。陽菜ちゃんは俺等に心配をかけまいと気を使うから」

「ん」

悠には陽菜のことは全てお見通しだ。

「水島先輩は…」

「ん。まだ連絡はしてない。悠、陽菜のことは内緒にしてくれな」

「あぁ。千葉先輩にも言わない方がいいよな」

「あぁ」

千葉先輩に話せば片桐先輩に伝わる。

当然、先輩にも。



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