不器用な初恋~俺は君のことが好きだ~
「何が俺に言わない方がいいんだ?」
「わっ!」
「ち、千葉先輩!おはようございます」
真後ろに千葉先輩がいることに全く気づいてなかった。
「うん?藤倉、尾崎」
「えっと」
「さっさと話せ」
「……」
声をひそめて
「陽菜ちゃんのことだろ?どうした」
「片桐先輩と水島先輩には内緒にして下さい」
「うん?」
「陽菜がパニック起こして高熱を出してます」
「…そうか。やっぱりこたえてんだな」
千葉先輩が痛ましそうな顔をして
「それでどうなんだ?」
「はい。叔父と叔母が医者なんで連絡して。叔母が診にきてくれるそうです。精神科ではなく小児科ですが」
子どもは精神的なことで体に変調をきたす場合が多々あるらしい。
だから今回は叔父より叔母の方が陽菜の手助けにはなるだろう。
「うん、それなら安心だな陽菜ちゃんは」
「はい。だけど今の陽菜のことを知ったら先輩は」
「ますます自分を責める」
「はい」
「分かった。水島はもちろんだが千恵にも言わない」
水島先輩が苦しめば片桐先輩も苦しむ。
そんな2人を千葉先輩も見たくはないだろう。