不器用な初恋~俺は君のことが好きだ~
彼女がいない、作らない理由はお袋や妹のせいだけではなく、もう一つの原因は親父だ。
親父の若い頃の事を知ってショックを受けたのもあるが、親父に言われ続けてる事があるからだ。
「涼、男が本当に惚れる女はたった一 人だ。その女と巡り逢ったら一生守 れ。いや、守りたいと思える女が本当に惚れた女だからな。頭で考えるより心が欲しがる女を探せよ。まぁ、男だから遊ぶのは仕方ないが、羽目は外しすぎんな。遊びでも女を泣かすな」
すげ~含蓄のある言葉だと。
さすが俺の親父だと尊敬の眼差しを向けたら
「まっ、どんな女を選ぶか知らんが志織よりいい女はいねえしな。残念だな」
「……」
顔がにやけてるし。
「親父、そんなに母さんに惚れてんの?」
「フッ 当たり前だ。志織は俺が選んだ女だからな」
いや、お袋が親父を選んだんじゃねえのか?
「ん?」
「い、いや。親父は母さんの何処に惚れたの?」
「ん?そりゃ全部だ。顔も体も、 まぁ、ちょっと胸は小さいがな。性格も何もかも」
「それって…のろけてる?」
「のろけじゃなく真実だ」
「……」
親父が母さんの話をする時、めちゃめちゃ優しい顔になる。
誠叔父さん曰く、会社での顔とは180度違うらしい。
俺も会社に行ったことはあるが、確かに厳しく、社員さん達はピリピリしてた。
それをフォローするのがお袋だ。
だから社員さん達にはお袋は信頼も厚い。
だから会社を辞めずってか辞められない。
誰もお袋の代わりは出来ないらしい。
やはりお袋は偉大だ。
親父に従ってるように見えるが、しっかり親父の手綱を握ってる。