不器用な初恋~俺は君のことが好きだ~



彼女がいない、作らない理由はお袋や妹のせいだけではなく、もう一つの原因は親父だ。

親父の若い頃の事を知ってショックを受けたのもあるが、親父に言われ続けてる事があるからだ。

「涼、男が本当に惚れる女はたった一 人だ。その女と巡り逢ったら一生守 れ。いや、守りたいと思える女が本当に惚れた女だからな。頭で考えるより心が欲しがる女を探せよ。まぁ、男だから遊ぶのは仕方ないが、羽目は外しすぎんな。遊びでも女を泣かすな」

すげ~含蓄のある言葉だと。

さすが俺の親父だと尊敬の眼差しを向けたら

「まっ、どんな女を選ぶか知らんが志織よりいい女はいねえしな。残念だな」

「……」

顔がにやけてるし。

「親父、そんなに母さんに惚れてんの?」

「フッ 当たり前だ。志織は俺が選んだ女だからな」

いや、お袋が親父を選んだんじゃねえのか?

「ん?」

「い、いや。親父は母さんの何処に惚れたの?」

「ん?そりゃ全部だ。顔も体も、 まぁ、ちょっと胸は小さいがな。性格も何もかも」

「それって…のろけてる?」

「のろけじゃなく真実だ」

「……」

親父が母さんの話をする時、めちゃめちゃ優しい顔になる。

誠叔父さん曰く、会社での顔とは180度違うらしい。

俺も会社に行ったことはあるが、確かに厳しく、社員さん達はピリピリしてた。

それをフォローするのがお袋だ。

だから社員さん達にはお袋は信頼も厚い。

だから会社を辞めずってか辞められない。

誰もお袋の代わりは出来ないらしい。

やはりお袋は偉大だ。

親父に従ってるように見えるが、しっかり親父の手綱を握ってる。


< 4 / 313 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop