不器用な初恋~俺は君のことが好きだ~
「ん?お前気づいてないのか?」
何か私が鈍いみたいじゃない。
「気づいていましたよ。あの子、凛ちゃんから目を離さないし、 なのに話し掛けられるとドキドキして赤くなって…フフフ…可愛 いですね」
「なのに肝心の本人は全く気づいてないからな。アイツはかなりの奥手だな」
「フフフ…そりゃ恭介さんと私の息子ですよ、奥手は血筋かも。でも恭介さんよりは早いですね」
恭介さんの初恋は何たって31歳の時で相手は私だから。
「…お前だって人の事を言えた義理じゃない。本気の初恋は俺なんだろ」
まぁ、確かに。
高一の時は恋に恋してただけだもんね。
「えっ?」
恭介さんが私の左手を取って口づける。
「き、恭介さん…う、運転中」
「ん、今信号待ち」
「危ないです」
「大丈夫だ。ククク…お前の方が爆発しそうで危ないな」
「……」
もう恭介さんったら。
結婚してから18年になるのに今でもドキドキさせるんだから。
「アイツはどう告白すんのかな?」
車をスタートさせながら
「さぁ、凛ちゃんは全く意識してないですからね」
「ククク…確かにな。陽菜の兄貴つうか、後輩の一人くらいにしか思ってないし」
「恭介さんみたいに女性の扱いになれてませんからね」
「ん?」
あっ、一言多かったみたい。
「まぁ、アイツには俺のような自信はないわな」
「恭介さんのような自信ですか?」
いったいどういう意味?