不器用な初恋~俺は君のことが好きだ~
「俺の思った通りお前は俺に惚れた」
「……」
「違うか?…お前、俺に惚れてんだろう」
「……」
「ん?惚れてんだろう」
ちょっと声のトーンが下がった。
早くご機嫌取らないとやばいわ。
「はい、ほ、惚れてますよ」
「何だよ、その言い方は!感情が籠ってない。ホントに惚れてんの?」
感情が籠ってないって…
こんな車の助手席で、それも今、車は走行中なのに愛の告白をするんですか?
何かおかしいと思うのは私だけでしょうか?
「志織」
「恭介さん」
「ん?」
「何で車の中で『恭介さん、好き』っ て言わなきゃならないんですか?」
「……」
「や、やっぱりですね、いくら結婚して18年経ってもですね、こんな車の中で、まるで『何が食べたい?はい、ステーキが』みた いな会話と同列で 『愛してます』なんて感情込めて言えないですよ。やっぱり何でも時と場所ってものが」
「クッククク…ハハハ…」
大爆笑された。