不器用な初恋~俺は君のことが好きだ~
第1章 出逢い
「ただいま」
金曜日、学校から帰って来ると
「あ、お兄ちゃん おかえりなさい」
「ん、お前、帰ってたんだ」
「うん。ママも帰ってるよ」
まだ7時前だから今日は早いんだな。
「じゃあ親父も」
「パパはまだ。残業だって」
親父だけ残業ってことは帰って来たらご機嫌悪いだろうな。
キッチンに行って
「母さん、ただいま」
あれ、お客さんが…
陽菜の奴、お客さんなら言えよ。
「おかえりなさい。お茶淹れるから着替えて来なさい」
優しいホンワカした笑みを浮かべてお袋が言う。
お客さんが誰かは知らないけれど先ずは着替えて来よう。
――
―
着替えを済ませ下に降りると
お袋や陽菜の笑い声に混じってもう一人の笑い声が聞こえる。
誰なんだろう。
ガチャッ!
「涼、此処に座ったら」
「あ、あぁ」
お袋の指し示した場所は陽菜とお客さんの向かい側
「失礼します」
頭を下げて座り
「こんにちは。お邪魔してます」
お客さんの挨拶に顔を上げて…
!!!