不器用な初恋~俺は君のことが好きだ~
「涼」
「あ、悠か」
悠とはクラスが違う。
「今、お前の教室行ったら女子共がやいやい言ってたぞ」
「……」
「水島先輩が来たんだって?」
「あ、あぁ」
「何の用だったんだよ」
悠、お前もか。
「何でもねえよ」
「ふ~ん。まぁ、いいけど…気を付けろよ」
「ん?」
「いや、水島先輩人気あるし…それに」
「ん?」
「お前にも何か知らんが熱狂的なファンいるからな」
「何だよ、それ」
「お前のクラスに派手目の女子のグループがいるだろ」
「……」
さっきの奴等か。
同じクラスでも名前すら知らない。
いや、苗字くらいは知ってるが、それが誰の苗字なのか一致しない。
いつも一塊でいるし、みんな同じ髪型に化粧。
全く区別がつかない。
「アイツ等、お前のファンなんだってよ」
「そんなん知るか」
「他のクラスのお前のファンを威嚇してる」
「威嚇?」
「そっ『、藤倉君は私達の藤倉君なんだからね、あんた達、キャーキャー言って藤倉君迷惑なのよ』って」
「馬鹿か!いつ俺がアイツ等のもんになったんだよ。てかアイツ等のことすら俺、同じクラスだって以外知らないぜ」
教室以外で会ったってクラスメイトって分かんねえし。
「そりゃそうだけどさ、そういう風に言ってライバルを蹴散らしてんだよ」
「ライバル?何の?」
「藤倉涼介争奪戦」
「何だよ、それ?アホらしい」
「ハハハ…確かに」
結局図書室に行かず屋上にいる。
「まっ、アイツ等も水島先輩には手出しは出来ないだろうけどな 」
「ん?」
先輩に手出しって…