不器用な初恋~俺は君のことが好きだ~
「…ん、凛ってば」
「えっ?」
「何ボケてんのよ」
ボケてるって失礼な。
「帰ろ」
「あ、うん。って千恵、待たなくていいの?」
「う~ん、だって未だ未だ終わりそうにないじゃん」
確かにね。
まだ5時だし、後1時間くらいはかかるよね。
「まぁ、待ってるなんて約束してないし」
「相変わらずクールね。何か可哀想な千葉君」
そう、千恵は野球部のエースピッチャーの千葉君と付き合ってる。
昨日、陽菜ちゃんに勘違いされたのは千恵が応援に来れなかったので伝言を伝えてたから。
あの野球部のエースで、それこそ『ミスター青葉』って言っても過言ではない千葉君が高1の時に同じクラスになった千恵に一目惚れして何回も告ってやっとOKもらったんだから。
千恵は私とは対称的な小柄で癖毛の肩までのウェーブヘア。
色白で可愛らしい顔立ちの美少女って言葉がピッタリなんだけど、中味は、さっぱりして物事をはっきり言うタイプで私には頼れる親友。
さっき私を『ミス青葉』とか言ってたけど千恵の方がよっぽど『 ミス青葉』 だよ。
まぁ、外見は正反対でも中味は私も似たようなもんだけど千恵には負ける。
千葉君は千恵の外見よりそのはっきりした性格、早い話しが見た目とのギャップに惚れたのよね。
千葉君がモテるからそれこそやいやい言われたけど、コソコソ言う連中に 『言いたいことがはっきり言えば。陰でコソコソ言うの って何て言うか知ってる?陰険って言うのよ。せっかく可愛い顔 してんのに魅力が半減するわよ』って啖呵を切った。あの時は我が親友ながら尊敬したわ。
あれから誰も何も言わなくった。
まぁ、千葉君と千恵が一緒にいるのを見たら千葉君がぞっこんなのは分かるわよね。
「凛、早く帰ろうよ。お腹空いたしハンバーガー食べに行こ、ね」
私の腕を掴んで生徒会室を出る。
靴を履き替えて グラウンドを横切り