不器用な初恋~俺は君のことが好きだ~
「藤倉君の妹ちゃんかぁ。…妹…藤倉…えっ?もしかして陽菜ちゃん?」
「はい。片桐先輩、陽菜を知ってるんですか?」
「うん。私も中学までは凛の所へピアノ習いに行ってたから。そっかぁ陽菜ちゃんの。陽菜ちゃん元気?」
「元気です」
「フフフ…」
ん?
「思い出しちゃった」
「何を?」
「陽菜ちゃん、私にヤキモチ妬いてたのよね」
「えっ?」
陽菜が片桐先輩にヤキモチって?
「私と凛とは小学校1年からの友達じゃない。ま、姉妹みたいなもんね。 陽菜ちゃんはとにかくピアノ教室に入って来た時から凛が大好きで私と凛が喋ってると必ず入って来てたのよ」
「……」
「ちっちゃいなりに必死で凛の気を引こうとして」
「ハハハ…そんなことあったよね。陽菜ちゃんが膨れるのがあまりにも可愛らしいから千恵ったら余計に怒らせて」
「そうそう。最後には必ず『凛ちゃんは陽菜の凛ちゃんなの』って泣いてたよね。あれはまだ陽菜ちゃんが保育園くらいかな」
「そうだったよね。陽菜ちゃんの付き添いのお祖母さんが困ってらしたから」
「すみません。今もまだ先輩に引っ付いてるようです」
陽菜はそんな時から先輩にくっついてたのか。