不器用な初恋~俺は君のことが好きだ~
そんなことを思いながら
「お、俺の事を知っていたんですか?」
「やだ~お兄ちゃん」
「涼、凛ちゃんは同じ学校よ。陽菜がよく言ってるじゃない」
お袋と陽菜が呆れ顔。
そういや言ってたな。
ピアノの先生の娘の事を。
それが彼女で、同じ高校か。
「何年生?同級生じゃないよね?1年生?」
「涼、あなた」
「お兄ちゃん、失礼でしょう」
へっ?
「フフフ…陽菜ちゃんいいのよ。藤倉君、ごめんね私…3年なんだけど」
「えっ?せ、先輩ですか?し、失礼しました」
「フフフ…いいわよ、そんなに謝ってもらわなくても」
平身低頭の俺に優しく声を掛けてくれる。
「すみません。でも、せ、先輩は俺のこと」
「藤倉君、有名人だもの。野球部でポジションはショート3番バ ッター。 カッコイイって3年にもファンは多いわよ」
悪戯っぽく笑う。
――
―
ん、な、何だ?
な、何か胸の奥で…
「へぇ~お兄ちゃんモテるんだ」
「そうみたいよ」
「涼がモテるなんてねぇ。他にイケメンいないの?みんな物好きなのかしら」
へっ?
か、母さん?
「ハハハ…志織さん、相変わらずおもしろいですね。藤倉君ってイケメンですよ。わが校のベスト5には入るんじゃないかしら」
「……」
「お兄ちゃんがベスト5に!よっぽどイケメンいないのねぇ」
「陽菜ちゃん、きつい」