箱庭


「雨君!ここの屋上は、すごいのよ!」



エレベーターの中で美由紀さんは興奮ぎみに話してくれた



なんでも、社長がそこの様子をちょくちょく聞きにくるらしい



…社長のお気に入りの場所なのかな?



静かにエレベーターは上へ上へと向かう



しばらく経つと、ポーンという電子音がエレベーターの中で響く



ぼくは目を見開いた。



目の前の景色が緑に広がった。



大きな木が辺り一面に生えていて、小さな滝があり、所々に色んな花が咲いていて、そのまわりを鳥たちがとんでいる



ぼくは無意識に石畳みの上を進んでいた。



「わぁ…」



ぼくは驚きを隠せず、声が出てしまった



そこには、おとぎ話に出てきそうな



ドアの高さは、ぼくよりちいさくって



子供が何人か入ったらぎゅうぎゅうになってしまいそうなほど小さな家があった



「すごいでしょ?社長が、デザインした特注の家なの。」



美由紀さんはその家をうっとり眺める



ぼくは庭の美しさで半分放心状態になっていた


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