箱庭

空の太陽がオレンジになった頃、いつもあめはここにやってくる



ポーンと言う音が庭に響く



「あめっ!」




ドアが開くと
そこにはいつもの食べ物をもってくるおばさんがいた



…あめじゃない



おばさんは、面白そうにクスリと笑った



「雨君じゃなくてごめんね?」



あめ?あめを知ってるの?



「おばさん!あめ…知ってるの?」



アセビのおでこにゅっと手が伸びてきた



「おばさんじゃなくて美由紀よ!」



そう言うとアセビおでこを指ではじいた



ぺしっ



…ちょっと痛い…



「何?雨君のこと?」



わたしはコクコク頷いた



知ってるわよと、おばさんは言った

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