箱庭
「そうそう、リンゴの皮むかないとね、
お嬢ちゃんお腹空いたでしょ…」
おばさんは、リンゴを手に取った
…わたしのがおじょうさん?
「違う…」
おばさんは、驚いて手を止めた
「わたし、おじょうさんじゃない。」
アセビって言うの
そう言うと、おばさんは、なんだか面白そうに笑った
「…アセビ、ね。」
わたしは、コクリと頷いた
「いい名前ね。」
…いい、名前?
おばさんはわたしに、リンゴという食べ物を食べさせてくれた
シャリシャリしてて、甘くて美味しかった
…でも、とってもおいしいリンゴを食べても、わたしの頭の中には一つの言葉がずっと頭で響いていた
じゃあ、そろそろ帰るわね
そう言っておばさんは、またドアの中へ消えていった
わたしは、おばさんがみえなくなるまでドアを眺めていた