箱庭
ポーンと音がする。
嗚呼、もうついたのね
エレベーターのドアが開く。
それと同時に、可愛らしい声が聞こえてきた…
「あめっ!」
彼女は、期待に目を輝かせて、私の方に向かって来た
…残念だけど雨君じゃないのよ
この子、こういう顔もするんだ…
私は、面白くなりクスリと笑った
「そうそう、リンゴの皮むかないとね、
お嬢ちゃんお腹空いたでしょ…」
私はリンゴを手に取った
すると彼女は、首を傾げた
「違う…」
私は、驚いて手を止めた
いつもは何も言わないのに…
「わたし、おじょうさんじゃない。」
アセビって言うの
アセビ……BDLの人が知っててつけたのかしら?
でもBDLの人は絶対名前をつけたりしない。
もしかして…雨君?
「…いい名前ね。」
私は面白くてつい笑ってしまった
彼は真実を知った時、彼女をこの名前で呼べるかしら…?