光と闇の境界線(短くて、短いお話)
第三の風■白衣+コーヒー=放物線
大きい黒板には、びっしりと
何かの数式が書かれている。
「ねぇー、センセー…
…センセーってばぁー」
返事なんてものはない。
目の前にいる先生は真剣な表情で
ひたすら数式を黒板に書いていく。
すでに、初めから何が書かれて
いるのかわからないのに
もう、さっぱり。
あたしには解らないし
解るはずもない。
でも、綺麗な曲線で書かれている
放物線だけは、好きなんだ。
あたしは黒板の前に置いてある
長机に座りながら窓の外に
目を向けた。
青く透き通った空には、
美味しそうな雲がモフモフ、
ゆっくり進んでいく。
せっかく両思いになったと
思ったのに…
つまんない…
チラリ、と視線を前に向けても、
前方にいる白衣の人は
まだ黒板に釘付け。
カッカッカ、とひたすらチョークの
走る音だけが鳴り続いている。