光と闇の境界線(短くて、短いお話)
「…だからじゃないのか?」
は?と私は彼の方を見る。
彼も私の方を向き
無邪気な笑顔で言った。
「星は、儚いから、
今、ここで、この時を、
唄っているんじゃないか?」
そして、また星を仰ぎ見る。
……ああ、そっか。
星は儚いからこそ
今を主張するために、
ここに在ると知らせるために
…ウタっているのか…。
「…それなら!私も歌う!
星がウタウなら私も歌ってやる!!」
バッ、と立ち上がり、
空いっぱいに叫んだ。
私はここにいる。
存在しているからこそ、歌うのだ。
ふん、と彼の方を向くと
夜とは思えないほど、
優しく微笑む彼の表情が
はっきりと、見えた。
(貴方に届く唄を…)