私、恋をしている
福岡さんとの飲み会をセッティングしてもらおうとはりきっていたけれど…なんとなく頼み辛くなった。福岡さんが好き…やなんて言わんと、ノリに任せたら良かった…な。


「………」


芳賀さんの様子を伺う。私の視線には構わず、アツアツの豆腐ナゲットを口にしている。


しばらくすると、おもむろにスマホを取り出し、電話…。誰かから着信でもあったんかな?ビールを飲みながら、黙りこむ。


『あ、もしもし、芳賀です。お疲れ様です』


『今、飲んでるんですけど、来ませんか?』


え⁉︎誰に電話してんの⁉︎口をパクパクさせる私を、芳賀さんがチラリと見る。電話の相手に店の場所を伝えて、電話を切った。


「芳賀さん!」


「…福岡さん、呼んでやったから…」


「えっ…?あ…。ごめんなさい…」


芳賀さんを利用して、福岡さんと近付きたかったくせに、いざセッティングしてもらうと…なんか申し訳ない気持ちになった…。


「『ごめんなさい』やなくて『ありがとう』やろ?」


「あ……ありがとう……」


< 10 / 43 >

この作品をシェア

pagetop