私、恋をしている
「お疲れ様です。お先です」


デスクを離れ、更衣室に向かう。スマホをチェックする…。


『了解』


芳賀さんらしい短い文面を見て、ホッとした。嫌われたんやなかったみたい…。化粧直しをして、唇をキラキラさせる。甘い香りを纏えば、できあがり。


足取り軽く、いつもの店に向かった。芳賀さんを見つけて、手を振った。


「おやすみのところ、ありがとね」


そう声をかけて、向かいに座る。芳賀さんがお疲れ…と呟き、メニュー表を広げた。


「とりあえず、ビール!それから…」


私が勝手にアレコレ注文をする。


「…で、次は何?」


店員がオーダーを取った後、芳賀さんが苦笑いをしながら言った。


「次は…って?」


「福岡さんに好きな人がいて、諦めた。次に気になるのは、誰?」


芳賀さん…私が飲み会のセッティングをお願いしに来たと思ってるんや⁉︎


「ちゃうちゃう!そんなんやないで!今日は、芳賀さんにアドバイスをしてあげようと思って、さ」


「アドバイス?」


ビールが運ばれ、乾杯してから言った。


「塩谷さんに、女の子、紹介してもらうんやろ?」


「…えっ…」


目を泳がせて動揺している。芳賀さんらしくない。


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