私、恋をしている
「芳賀さん、どちらかと言えば無口やん?女の子を紹介されても、戸惑いそうやん?だ・か・ら、私がアドバイスを…」


「余計なお世話」


「えっ⁉︎」


枝豆に手を伸ばしながら、芳賀さんを見る。ムッとした顔が芳賀さんらしくなくて、手にした枝豆をぽろっと落とす。


「佐野ちゃんこそ、オレの心配してないで、コンパでも行けば?」


「それこそ余計なお世話やわ」


なんだか口がカラカラ。ビールをグビグビと飲む。


「私はまだ、20代前半ですから焦ってませーん!芳賀さんは、もうすぐ20代後半の仲間入りやん?」


「…ふたつしか、かわらんやん」


ぶつぶつ言うと、私と同じようにグビグビとビールを飲んだ。


「佐野ちゃん、オレにケンカ売るためにわざわざ呼んだんか?」


感情的になっている芳賀さんが、なんだかおかしかった。いつも穏やかな芳賀さんが、別人のようで、怖かった。


「そんなつもりやないけど…」


「ほな、なんで?」


「芳賀さん、草食系やん?せっかくのチャンスをモノにできるように…アドバイスしてあげようと、思っただけ」


「…そう…。なんか、みじめやわ」


芳賀さんはそう言うと、財布から1万円を出して、テーブルに置いた。


「これで、払って」


「えっ⁉︎芳賀さんっ⁉︎」


芳賀さんは、私の呼びかけを無視して、帰ってしまった…。


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