私、恋をしている
「おはようございます」


いつものように元気いっぱい挨拶をする。芳賀さんのほうは、見ないようにして。


オフィス内は、いつもと変わらない。朝礼が終わると、グループミーティング。それが終わると、ルートセールスマンたちは、ホワイトボードに予定を書きこみ、自分のトラックに飲料を積みこむと、担当エリアへと向かう。


ルートセールスマンたちが出かけてから、コッソリと芳賀さんのデスクに近付く。小さな封筒に1万円札を入れて、キーボードに挟みこむように、置く…。


「舞ちゃん?」


ビクッとして、恐る恐る振り返る。なんで塩谷さん、まだオフィスにおるんよ!早よ、営業に行かんかい!と、思いながら…。


「なに、してるの?」


「あ、えっ…と…」


「それ、ラブレター?」


1万円札の入った封筒を、指さした。


「ま、ま、ま、まさかっ!か、か、借りたものを、返しただけです…」


「そっか、それならいいんだけど。もうすぐ女の子を紹介するのに、舞ちゃんからラブレターなんかもらったら、困るだろうし」


この人、わざと言ってる?そんな気がした。


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